『がんと闘った科学者の記録』の著者は物理学者戸塚洋二氏。
立花隆氏編集による同氏の死の直前までのブログです。
戸塚さんは、生存していたならニュートリノ観測でノーベル賞を確実に受賞していたといわれる人です。
自分のがんに関するデータを蓄積し、分析する冷静な科学者の目を死の直前まで失わなかった人でもあります。
同時に、植物に対する豊富な知識と深い愛、死と信仰についての考察、そして恩師小柴昌俊博士に対する思い。
戸塚さんが努力して到達したいと思っている人生の終末を正岡子規の言葉で表しています。
「悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合でも平気で生きて居る事であった」
いつか健康を失い絶望しかけたら、この本を読み返して生きる勇気を与えてもらえそうです。