2009年11月17日火曜日

原子力発電所訪問記

世の中には、役に立っているのに、歴史や過去の経緯によって、世間でまま子扱いをされているものがいくつかあります。


その中の一つが原子力発電所だと思うのですが、今回、発電量世界一を誇る東京電力柏崎刈羽原子力発電所に、東京商工会議所の視察会で行ってきました。


今回の訪問のハイライトは4号機の原子炉の中に入れたことで、実にラッキーでした。下の図の原子炉圧力容器の底をのぞけるところまで入ったのです。


上の図は沸騰水型原子炉で、ウランが原子炉内で核分裂を起こし、その際に発生する熱によって、水を蒸気に変え、この蒸気でタービンを回して発電機で電気を作る仕組みを示しています。


4号機は中越地震以降点検が行われていて、数年稼働していないため原子炉の中まで入れたというわけです。


放射線測定器を胸ポケットに入れて見学をしたのですが、放射線が人体に与える影響の度合いを表す単位がミリシーベルトだそうで、世界の自然放射線量の平均が2.4ミリシーベルト/年とのこと。


7,000ミリシーベルトを全身にあびると人は死に、癌の放射線照射は60,000ミリシーベルトだそうです。癌の治療にはすごい量の放射線が使われているのですね。


原子力発電所の安全確保の原則は「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」で、放射性物質は5重の壁で閉じ込められています。


漠然とした不安や、過去の経験で現実を見る目が曇ることはよくあることです。見ることによって考えが変わる場合もありますので、見学をお薦めします。


ただし、日本では原子力に対する特別な思いがあるので、時の流れの中で原子力発電が自然に認められるまでは、安全確保と地道な広報努力は不可欠です。



案内してくださった東電の吉岡さんと。

あまり女性がいない職場だと思っていたので、吉岡さんに会えてなんだか嬉しくなり、写真を撮ってもらいました。