葉室麟原作の「蜩ノ記」。
日本人の礼節の美しさ。
静かな日本の景色と武士の潔さ。
武家社会は不条理な世界です。
主人公戸田秋谷(役所広司)は10年後の夏に切腹を命ぜられ、切腹の時までに藩史編纂を終えなければなりません。
切腹までに3年とせまり、藩から監視役として送り込まれたのが壇野正三郎(岡田准一)。
庄三郎がしだいに秋谷(しゅんこく)の気高い生き方に心酔し、秋谷の家族とも心を通わせていきます。
いよいよ切腹の日となり、死に装束は妻が泣きながら夜中に縫ったもの。
去っていく秋谷の背中から、仕事を終え死に向かう淡々とした気持がにじみ出ています。
監督は黒澤監督の愛弟子、小泉監督。
出演者の所作の美しさが目に残ります。
川端康成がノーベル賞を受賞したときの「美しい日本の私」という講演のタイトルをを思い出ししました。