テクニカルコミュニケーター協会主催の「翻訳品質の新しい評価方法を考える」というパネルディスカッションに出席しました。
登壇者は、西野竜太郎氏、ライオンブリッジ稲垣美貴氏、日本翻訳連盟田中千鶴香氏、そしてコーディネーターとして弊社取締役森口。
最初は、西野氏からGarvinの品質五分類についての説明。
Garvinの品質五分類とは、ユーザーベース、価値ベース、プロダクトベース、生産ベース、超越的の五種類。
品質のほとんどがこのどれかに当てはまるというものです。
ユーザーベースとは品質は、ニーズ、要望、好みを満たしている度合いによって決まる、というものです。
数値化しにくいものばかりですね。
翻訳会社の考えは価値ベース(納期と価格で決まる)とプロダクトベース(計測可能な数値で決まる)。
クライアントは生産ベース(仕様への合致度で決まる)。
翻訳者は、超越的(職人技)で考える傾向にあるそうです。
立場によって評価基準が異なりますね。
その後、田中さんから翻訳品質評価方法に関する業界アンケートの紹介がありました。
ここでおもしろいのは、品質に関する定義では、「最終読者による評価の高さ」という項目を挙げた人がかなりいたということです。
ところが、エンドユーザーの満足度は数値で測り難いのが翻訳です。
弊社では、お客様の「好のみ」の部分を仕様に落としこむための努力を続けています。
翻訳品質の評価方法に関連してツールが開発されていたり、この分野も少しずつ前進しているという感触ですが、まだ「日暮れて道遠し」だと思っています。