2009年2月20日金曜日



父が93歳でこの世を去りました。昨日が告別式でしたが、家族葬で母と私と兄とその家族だけという花に囲まれた告別式でした。





父は子供の頃からの私のあこがれでした。英語とドイツが得意な技術者で、秀才でとても格好よく、父のような雰囲気の人ですぐ怒らない人と結婚しようと思っていました。子供の頃よく物理や数学を教えてもらっては、どなられたものです。父は震え上がるほど怖い人だったのです。



今考えてみると私は父と何も深い話をしたことがなく、人間としての父をほとんど知らないことに気がつきました。


ところが、父との会話で唯一心に残っている言葉があり、この一言で私の人生が変ったのです。


20代の終わりにアメリカに行ってもう一度勉強をしたいと思って悩んでいたとき、「勉強をするのに遅すぎることはない。人間一生努力だ」と言われました。


父は強烈な性格の人でしたので、周囲には傷ついたり、うらみに思った人が相当いたのではないかと思います。ただ、私にとっての父は、この一言がすべてです。


映画の「おくりびと」の中で火葬場のおじさんが、人は死ぬと門をくぐって別の世界に行くと信じ、「いってらっしゃい。また会おうの」とつぶやいて死者を送り出すシーンがありました。


私もいつか門をくぐって別の世界に行って父に会ったら、「どうしてこんなことがわからないんだ!!」とまた怒られないようにしなければなりません。