2018年3月9日金曜日

葉室麟遺作『天翔ける』

二週続けて本の話題です。

昨年暮、大好きな葉室麟が亡くなりました。

葉室麟を好きな理由は、文章の美しさと登場人物。




今回は遺作の『天翔ける』。

主人公は幕末の越前福井藩主松平春嶽。

春嶽は賢候として知られていますが、徳川一門の殿様です。

激動の時代に、最後の踏ん張りがきかないのが残念。

立場を考えると、仕方がありませんが。。。






この本によれば、橋本左内を守れなかったし、坂本龍馬暗殺の真相も突き止めなかった。

本はおもしろかったですが、一番印象に残ったのは春嶽が最後に西郷に出会った場面。

春嶽が西郷を見下ろして「徳川がそれほどにくいか」と聞いた場面は、著者らしく美しい文章で読み応えがありました。

もう葉室麟の新刊は出ないと思うと、そこはかとない寂しさを感じます。