二週続けて本の話題です。
昨年暮、大好きな葉室麟が亡くなりました。
葉室麟を好きな理由は、文章の美しさと登場人物。
今回は遺作の『天翔ける』。
主人公は幕末の越前福井藩主松平春嶽。
春嶽は賢候として知られていますが、徳川一門の殿様です。
激動の時代に、最後の踏ん張りがきかないのが残念。
立場を考えると、仕方がありませんが。。。
この本によれば、橋本左内を守れなかったし、坂本龍馬暗殺の真相も突き止めなかった。
本はおもしろかったですが、一番印象に残ったのは春嶽が最後に西郷に出会った場面。
春嶽が西郷を見下ろして「徳川がそれほどにくいか」と聞いた場面は、著者らしく美しい文章で読み応えがありました。
もう葉室麟の新刊は出ないと思うと、そこはかとない寂しさを感じます。