先日、税理士のM子さんが、自分を育ててくれたおばあさんの話をしてくれました。
明治の女であるおばあさんのことを、M子さんは「私の導師」と呼んでいます。
このおばあさんについて、ちょっと物語風にご紹介します。
M子さんは事情があって6歳のときにお母さんと離れて、おばあさんと二人で暮らすことになりました。生活は楽ではありませんでした。そして、おばあさんはとても厳しい人でした。
M子さんが、ふくれっつらをしておばあさんに言いつけられた用事をしていると、「おまえには言いつけられたことをふくれっつらをしてやるか、ニコニコしてやるか二つに一つしかないんだよ。どちらが自分のためになるかよく考えてごらん。」
M子さんが、ふくれっつらをしておばあさんに言いつけられた用事をしていると、「おまえには言いつけられたことをふくれっつらをしてやるか、ニコニコしてやるか二つに一つしかないんだよ。どちらが自分のためになるかよく考えてごらん。」
「人間は幸せになるように生まれてきているんだよ。幸せに生きるためにはまず自分で自分の面倒を見られなければならない。だから、勉強しなさい。勉強をして力をつけなさい。力がある人間は世間様が決してほっておかない」と何度も言われたそうです。
M子さんは、おばあさんにずっと反抗し続けていましたが、16歳のときに、おばあさんはいったい何をしている人なんだろう、と考えたそうです。
そのときに、おばあさんが自分の人生をかけてM子さんを育ててくれていることに気付きました。それ以来、厳しいおばあさんの言葉が、砂が水を吸うように心に浸みていったそうです。
「小さな幸せを見つけなさい」と繰り返し言っていたおばあさんは、M子さんの人生の導師の役割を果たし、M子さんに介護されて93歳で亡くなりました。
人を育てるということは、育てられる者も育てる者も真剣勝負だ、ということを再度確認する話でした。