2011年5月23日月曜日

『いねむり先生』

どうしても読みたかった伊集院静の『いねむり先生』がやっと手に入り、2日間で2度読みました。





2週間前に同じ作者の『大人の流儀』について書きましたが、この作家はとても大きな壁を乗り越えたようです。


この本は、何も悲しいことが起きているわけではないのに、読んでいて涙の出てくる本です。


多分、人間の孤独、苦しみのすさまじさと、そこから出発したやさしさに泣けてくるのでしょう。


妻(女優の夏目雅子)を亡くし、ギャンブルとお酒で生きていた著者が色川武大(阿佐田哲也)との交流で救われていく話です。


身近に、妻と別れ、アルコール依存症になり、亡くなった人がいます。


なんとか力になろうとしましたが、結局何もできませんでした。


この本を読んで初めて、友人が抱えていた寂寥感の大きさに思いあたりました。


人の苦しみが本当にわかるのは、同じような苦しみを経験していて、真の意味でやさしい人だけなのでしょう。


それにしても、色川武大といい伊集院静といい、いい本を書く人って大変な人が多そうです。