この本は、何も悲しいことが起きているわけではないのに、読んでいて涙の出てくる本です。
多分、人間の孤独、苦しみのすさまじさと、そこから出発したやさしさに泣けてくるのでしょう。
妻(女優の夏目雅子)を亡くし、ギャンブルとお酒で生きていた著者が色川武大(阿佐田哲也)との交流で救われていく話です。
身近に、妻と別れ、アルコール依存症になり、亡くなった人がいます。
なんとか力になろうとしましたが、結局何もできませんでした。
この本を読んで初めて、友人が抱えていた寂寥感の大きさに思いあたりました。
人の苦しみが本当にわかるのは、同じような苦しみを経験していて、真の意味でやさしい人だけなのでしょう。
それにしても、色川武大といい伊集院静といい、いい本を書く人って大変な人が多そうです。